日米交流
Japan-US Encounters Website
History of Japan-US Relations in the period of late 1700s and 1900s

 

フィルモア大統領の議会宛て演説書簡  (1852年12月6日付け上下両院宛ての教書、アメリカ合衆国第32議会、第2期)
(『ペリーを訪ねて』、中野昌彦著、東京図書出版会、2006年4月、 ISBN4-86223-017-2、P. 78-80 から引用)

(カリフォルニアやオレゴンという)太平洋沿岸地域での我々の定住は既に大きく拡大し、ある意味で、それは太平洋における商業の新しい方向に向かい始めた。直接に、かつ急速に拡大する通商は東アジアにまで及んでいる。北極海にまでつながる北太平洋は、最近では我が国の捕鯨船が頻繁に訪れる場所である。通常航海への蒸気船の使用が日に日に一般化し、アジア・太平洋沿岸航路の便利な場所において、石炭やその他必需品供給が出来るようにすることが望まれている。時として東アジア近海で遭難に巻き込まれる不幸な我が国民は、当然保護されねばならない。これら個々の問題点の他に、太平洋における我が合衆国の繁栄のため、対極にあるアジアの国々を、相互利益のある通商に向けて導く努力をせねばならない。この試みが他国によってではなく、いかなる遠方植民地をも排除する憲法を持つ、我が合衆国によってなされることが非常に有益であることは明白である。従って私は、我が海軍で著名な、思慮深く聡明な、最高位の将官によって指揮される適切な海軍勢を日本に派遣すべく命令を下した。彼は、二世紀にも渡って続く無愛想で反社会的制度の軽減を、その国(日本)の政府から獲得するよう努力せよと命ぜられている。彼は特に、我が国の遭難した船員達がしばしば遭遇した無慈悲な処遇について、最も強い言葉をもって抗議し、人道的に待遇すべく迫るよう命じられている。しかし同時に彼は、米国の目的はただ一つであり、私が示唆しているように、この遠征が友好的で平和なものであることを十分その政府に保障するよう命じられてもいる。東アジアの国々の政府が諸外国からの(通商をしたいという)提案を厳重に警戒している事実にもかかわらず、私はこの遠征が有益な結果をもたらすだろうという望みを捨てていない。一旦成功を勝ち取れば、その利益がアメリカ合衆国のためだけに制限されるのではなく、支那の場合のように、その他全ての海上貿易国によって平等に享受されるだろう。この遠征を準備する全ての段階で、我が国政府は、ヨーロッパで唯一日本と貿易関係にあるオランダ国王の政府から大いに助成された事実を述べることに満足の意を表したい。

元のページに戻る


コメントは 筆者 までお願いします。
(このサイトの記述及びイメージの全てに著作権が適用されます。)
07/04/2015, (Original since 07/10/2006)