日米交流
Japan-US Encounters Website
History of Japan-US Relations in the period of late 1700s and 1900s

 

長崎におけるグラント将軍の演説
("Around the World with General Grant", by John Russell Young, Vol. 2, The American News Co.,1879 より訳出)

1879年6月23日夕刻、長崎において、到着したグラント将軍を歓迎する晩餐会が模様された。その席で長崎県令・内海忠勝が歓迎の意を表し、グラント将軍の健康を祝し乾杯の音頭を取ったが、グラント将軍はそれに答える短い演説を行った。いわく、

ご臨席の閣下並びに紳士諸君、
ここに今夜、皆様方の前には、演説の才があり、私の健康を祝す乾杯に対し雄弁なる演説の出来る何人ものアメリカ人が同席して居ります。私にはそんな才能は無く、貴国や貴国の人々、また貴国の進歩発展について述べたいことが山ほどある中で、今夜程その欠如を遺憾に思う事はありません。私はそんな貴国の進歩発展について決して無関心であった者ではなく、日本の友人として皆様よくご存知の、私の抜群なる友人であり、私が名誉をもって公使に任命し日本に派遣できた、ビンガム判事からの報告に聞くその発展の過程に、我々はアメリカで声援を送ってまいりました。それは、共感と支援と友好関係の精神であり、私自身の意向のみならずアメリカの意向の表明として、ビンガム判事の使命を動機付けてきているものであります。アメリカは東洋から得るものが非常に多く、どんな国々にも負けない程の関心がありますが、東洋の人々との大いなる友好に基づき、我々にもたらすと同等の利益を与えようとするもの以外の何者でもあり得ません。若し他国との関係が、とりわけ東洋に於ける古く伝統があり非常に興味深い帝国との関係が、他の如何なる意図によるものでもあったとしたら、我が国を恥ずるものであります。我々は、貴国の発展を慶賀するものであります。貴国の発展を一歩一歩見守って参りました。古く伝統的な貴国の文明が開放され、それが更新される過程を見て参りました。その過程における我々の心からの共感と、それに伴った困難への同情と、我々の友好関係とを共有してきました。それが継続し、永続する事を願うものであります。既に述べた如く、アメリカは東洋に非常な関心を抱いております。アメリカは貴国の隣人であります。アメリカはその他の如何なる国々よりも、東方の人々により強く影響を受けています。アメリカは東洋での出来事に無感覚ではありません。アメリカの影響が何であるにせよ、正義と友好の精神から発揮されてきた事を誇りに思います。日本ほど外国からの正義と友好の精神を必要とする国はありません。それは、過去数年に亘り素晴らしい発展をなし遂げた努力は、我々が深く関心を寄せ、文明の新時代が切り開かれ、そんな過程を我々が励ますという範疇で成功を収めた努力であるからです。皆様、県令のご親切な言葉に対し、これ以上言う言葉を知りません。ビンガム判事は我が国の公使として、より雄弁に、より権威をもって説明する事ができます。しかし私は、日本の発展の努力に如何に深く共感し、アメリカでは如何に感謝されているか、述べずに置く事は出来ませんでした。そんな精神において、私の「日本の繁栄と独立のために」という考えにご賛同を願うものであります。

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07/04/2015, (Original since 03/10/2012)